生活防衛資金は2年分?3か月分?6か月分?100万円?

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Quangpraha / Pixabay

「生活防衛資金」という言葉をよくみかけます。これについては,家計の2年分必要だとか,3か月分でもよいとか,はたまた100万円で足りるとか,諸説あります(銭山家は,6か月分に設定しております)。もちろん,生活防衛資金額に唯一の正解は無いでしょうが,自分なりに設定することが望ましいでしょう。このエントリーでは,いくつかの見解の①根拠と②数字を確認し,示唆を得たいと思います。

①安心を確保するため,②2年分が必要だとする見解

木村剛氏の見解

「生活防衛資金」という言葉は,木村剛『投資戦略の発想法』(2001年,2005年,2007年,2009年)に由来するものでしょうか。引用のそのまた引用で恐縮ですが,次のように書かれているようです。

「生活防衛資金」について、本の中で次のようにかかれています。

「いままでの生活水準を落とさず2年間暮らしていけるだけの資金を準備しておかなくてはならないのです。会社がつぶれても、ゆるがない安心感を確保するために、これは絶対に必要なおカネです。わたしは、この資金のことを『生活防衛資金』と呼んでいます。」

さらに、生活防衛資金はどれぐらい必要なのか、次のようにかかれています。

「できれば2年間、少なくとも1年間は暮らしていけるだけの資金
生活防衛資金の金額=毎月家計で支出している金額のだいたい2年間分」

出典:シンプルライフ。充実生活。「生活防衛資金はいくら準備すればいいのか、改めて考えてみた

「生活防衛資金」という言葉の提唱者とおぼしき木村剛氏(日本振興銀行元会長)は,①「会社がつぶれても,ゆるがない安心感」を根拠に,②家計の2年分という数字を提案しておられます。

水瀬ケンイチ氏の見解

水瀬氏による梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー「生活防衛資金の安心感」によれば,①生活防衛資金に,暴落時の精神安定剤としての意義を見出すことができる。そこで,②生活費の2年分の銀行預金を確保しておれらる,とのこと。上記の木村氏の見解を踏襲しておられるようです。当該記事は,2008年8月のエントリーであり,リーマンショック前夜の相場停滞時にに執筆された記事として大変興味深いです。なお,水瀬ケンイチ『お金は寝かせて増やしなさい』は,読みたいのですが図書館で貸し出し中のため未見です。

その他

なるたく氏の低コストの投資信託で資産形成 | LoLo Investors「生活防衛資金の考え方を確認!投資をするなら生活を守るお金を用意しよう。」は,諸見解に言及した上で,①安心感を根拠に,②2年分程度を用意するのが理想だ,とされます。なるほどと思ったのは,

生活防衛資金の金額は、家族構成、年齢、職種、ポートフォリオなどの違いもあり、人それぞれだと思います。

という記述です。これには全面的に賛成です。具体的な当てはめとして,カン・チュンドのインデックス投資のゴマはこう開け!「生活防衛資金、運用に回さない安全資産、そしてポートフォリオの中でも安全資産って持つの?」の,以下の記述が参考になりました。

鈴木さんはわたしと違って
大手企業にお勤めで、
また、その職種はきわめて安定しており、

また、鈴木さんはわたしと違い、
毎年の期待収入が
逓増する可能性が極めて高く、

独身で、健康であり、
賃貸暮らしであり、

わたしよりもうんと
毎月の貯蓄率が高く、
おまけに一人っ子で、
ご両親は持ち家であり・・

という『条件』が揃っているなら、
【生活防衛資金】は3~6ヶ月程度で
ぜんぜん大丈夫だと思います。

その他生活防衛資金2年間を主張するものとして,ひと手間くわえた積立投資で資産形成「生活防衛資金に対する私の考え方」にも接しました。

①株や投信の換金容易性ゆえに,②3か月分で足りるとする見解

山崎 元「個人のインデックス投資、4年間の進歩 〜『全面改定 ほったらかし投資術』(朝日新書)の変更点〜」は,前記の水瀬氏の意見との対立を意識して,次のようにまとめておられます。

筆者は「生活費の3カ月分程度」を銀行の普通預金に置けば、あとは投資してもいい(注;全てリスク資産とは限らない)と言っており、水瀬氏は「生活費2年分程度」を投資資金とは別に預貯金で持つべきだと言っている。

筆者は投信でも債券・預金でも数日で現金化出来ることを重視しており、水瀬氏は生活防衛資金の存在がもたらす精神的余裕の重要性を強調している。

たしかに換金は容易です。しかし,暴落時に換金するのはソンです。証券会社の立場からすれば,マーケットに参加するハードルを下げるのが合理的でしょうから,低めの生活防衛資金を主張するのも合理的なのでしょう。

①(少しずつでも投資を始めるために?)②6か月分とする見解

横山光昭『はじめての人のための3000円投資生活』(105-106頁)は,次のように述べます。

 最低でも,使うための貯金(月収1・5か月分)と、おろさない貯金(月収6か月分)を持ってください。

本当は,おろさない貯金は6か月分以上あるのが理想ですが,まずは月収7・5か月分の貯金をつくってほしいと思います。

使うための貯金というのは,生活費が足りなくなったときや,ちょっとした予定外の出費などに対応できるようにするためのお金。

おろさない貯金というのは,病気やケガ,突然の退職などにより万が一収入が途絶えても,当面生活できるようにするための「生活防衛資金」です。

6か月で足りるとする積極的な根拠は,必ずしも明らかではありません。推測するに,この本の主張の根幹には,まずは少額でよいから投資をはじめてみよう,という考え方があると思われ(別記事もご参照ください),その考え方からすると,生活防衛資金として2年というのはハードルが高すぎると考えたのかもしれません。そして,少額ずつであれば,万が一の場合にもそれほど被害は拡大しない,という考えも見え隠れします。

この本は,我が家の財政を考える際に,大いに参考にさせていただいております。具体的には,わが銭山家では,横山先生の教えに従い,「使うための貯金(月収1・5か月分)と、おろさない貯金(月収6か月分)」を,キープするように心がけております。

①収入の複線化を根拠に,②100万円で足りるとする見解

たぱぞうの米国株投資「生活防衛資金はいくら必要なのか?」は,複数の収入を持つことの重要性を強調します。例えば,収入Aが途絶えても,収入Bと収入Cが存続するような状態が大事だ,そして,収入の複線化が図れていれば,急な支出に備えた100万円程度の生活防衛資金で充分だ,というお考えと理解しました。

目指すべき方向性としては大いに共感できます。ただ,現状,ゲバ男は収入の複線化を図るに至っていないので,参考にとどまります。

終わりに

以上,生活防衛資金に関する我が国の意見を,若干みてみました。このエントリーでは触れられませんでしたが,アメリカでは,生活防衛資金に相当するものとして,Emergency Fundという概念があるそうです。Savvyに生きる「生活防衛資金ってどうすべき?アメリカにおける考えを紹介します」によれば,

個人やその人の状況によりどの位の生活防衛資金 (Emergency Fund) が必要かは変わってきますが、バンガード社は目安としては生活費支出の3〜6ヶ月分としています。

とのことです。今後,勉強していきたいと思います。

さて,ゲバ男としては,家族構成・年齢・職種・ポートフォリオ・自らの収入の状況(複線化が図られているかどうか)等を判断基準に,自分なりの生活防衛資金を設定するのが良いと考えました。

例えば,我が家の実情を当てはめると。。。

・妻と未成年の子どもがいる → 生活防衛資金額UP

・年齢は中年 → ±ゼロ

・給与所得者である → 生活防衛資金額DOWN

・ポートフォリオは,キャッシュポジションほぼ100% → 生活防衛資金額DOWN

・収入の複線化が図られていない → 生活防衛資金額UP

もっともっと,着眼点があるでしょう。その総合判断が必要と思われます。

既に述べたように,わが銭山家では,横山先生の教えに従い,「使うための貯金(月収1・5か月分)と、おろさない貯金(月収6か月分)」を,キープするように心がけていますが,このことは,上記の基準と,少なくとも矛盾はしないと思いました。

なお,私は,株高の現在,リスク資産をすべて売却し,キャッシュポジションほぼ100%で暴落を待っています。それゆえ,次の暴落は心穏やかに迎えられるのですが,次の次の暴落時は,リスク資産を保有した状態で望むことになります。ビビりのゲバ男にとって,木村氏や水瀬氏のいう,安心の確保という観点は,大変重要です。しかし,2年分というのはハードルが高いですね。ごく少額で,投資を始めたいと思います。

ゲバ男

 

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